インサイドセールスの効率的な運営は、適切な組織図の構築から始まります。
この記事では、インサイドセールスチームの構築と管理に必要なステップを、具体的な例を交えて解説します。
目指すのは、リードのスコアリングから育成、最終的な商談設定までのプロセスをスムーズに進行させることです。
特に、インサイドセールス部門の効率的な仕事のリズムを作るためには、「業務」や「リードステージ」ごとに担当者を割り振った組織図を描くことが重要です。
インサイドセールスとは
インサイドセールスは、フィールドセールスに代わる効率的な営業手法として、近年特に注目されています。
インサイドセールスの強みは、非対面営業による移動費用や時間のコスト削減です。
また、車や電車ではなくインターネット網を活用することは、広範囲の見込み客に迅速にアプローチできることを意味します。
これにより、多数の見込み客にリーチし、ニーズや反応を素早く把握することが可能になります。
さらに、データ分析ツールを活用することで、顧客の行動や傾向を詳細に分析し、顧客ごとに最適化した営業戦略を立てることができるのも、インサイドセールスの大きな利点です。
インサイドセールス組織は営業プロセスに配置する
営業プロセスの分業化により、各部門はそれぞれの専門性に集中でき、営業プロセス全体の効率と効果を高めることが可能になります。
4部門のそれぞれの役割は次のとおりです。
- マーケティング部門
市場分析やブランディング、リード獲得の活動を行い、それをインサイドセールスチームが受け取ります。 - インサイドセールス部門
リードをさらに育成し、質の高いリードを選別、商談の設定までを実施し、フィールドセールスに引き継ぎます。 - フィールドセールス部門
対面営業を通じて、顧客との深い関係を築き上げ、成約につなげます。 - カスタマーサクセス部門
顧客の満足度を高め、長期的な関係の維持と、アップセルやクロスセルを獲得する役割を担います。
このように、各部門が特定のプロセスに特化することで、顧客のニーズに合わせたタイミングで最適なサービスを提供できるようになります。
また、部門間での情報共有と連携を密にすることで、顧客データの有効活用と営業プロセス全体の最適化を図ることができます。
インサイドセールス組織の内部で担当を割り振る方法
インサイドセールス組織内での適切な担当割り振りは、成果の最大化を実現するために不可欠です。
業務ごと、または、リードステージごとに担当者を明確にすることで、業務の効率化を図ることができます。
雑多なタスクは業務効率を下げるため、特定の担当領域を持たせることで、リズム良く業務を遂行することができます。
- 方法1:業務ごとに担当を割り振る
- 方法2:リードステージごとに担当を割り振る
方法1:業務ごとに担当を割り振る
インサイドセールス組織においては、業務ごとに専任の担当者を配置する方法があります。
この割り振りにより、各担当者は自分の専門分野に集中でき、業務の遂行スピードと品質が向上します。
また、明確な役割分担によって、チーム全体の生産性が高まり、顧客満足度の向上にも寄与することが可能です。
以下に、インサイドセールス部門の主要な業務を紹介します。
- リードのスコアリング・グルーピング
- フォローメールの送信
- 商談設定に向けた個別メール・コール
- 失注リードの定期的な掘り起こし
リードのスコアリング・グルーピング
スコアリングとグルーピングを専門とする担当者は、リードの行動やプロファイルデータを分析し、それぞれのリードの価値や優先度を評価します。
このプロセスにより、商談(成約)に進む可能性が高いリードに対してリソースを集中させ、最終的なコンバージョン率の向上を図ることができます。
また、グルーピングによりリードを分類することで、各グループに適したカスタマイズされた営業戦略を展開することが可能になります。
フォローメールの送信(マーケティングオートメーションを含む)
フォローメールの送信を専門とする担当者は、リードの行動や反応に基づいて最適化したコミュニケーションを実施します。
また、マーケティングオートメーションツールを活用し、フォローメールを可能な限り自動化し、リードのエンゲージメントを高めるのも、この業務担当が行います。
適切なタイミングでのフォローアップは、リードの成熟度を高め、商談設定の確率を向上させます。
商談設定に向けた個別メール・コール
商談設定に向けた個別メールやコールを担うスタッフは、リードごとにカスタマイズされたコミュニケーションを実施し、リードの関心やニーズに応じた提案を行います。
個々のリードの特性を理解し、適切な提案をすることで、商談化率を高めることができます。
また、このプロセスにおける担当者の対応の質は、顧客との信頼関係構築にも大きく影響します。
失注リードの定期的な掘り起こし
失注リードの掘り起こしを担当するスタッフは、過去の対応の履歴やリードの変化を分析し、再度アプローチする最適なタイミングと方法を見極めます。
失注の理由を理解し、それに対応する新たな提案を用意することで、リードに再び興味を持たせ、ビジネスチャンスを再構築することができます。
定期的なリードの見直しにより、見過ごされがちな潜在的な商談を発掘することが可能になります。
方法2:リードステージごとに担当を割り振る
インサイドセールス組織で担当を割り振る考え方には、リードステージごとに担当者を配置する方法もあります。
リこの方法では、リードが営業プロセスのどの段階にあるかに応じて、専門性と経験を持ったスタッフが担当します。
各ステージに特化した対応により、リードのニーズに合わせたより適切なアプローチが可能になり、より効果的なリード育成と商談成立が実現されます。
以下に、インサイドセールス部門における主なリードステージを紹介します。
- 新規リード
- まだ担当者とつながっていないリード
- 担当者とつながり顧客育成・商談設定中のリード
- 過去に失注したリード
新規リード
新規リードを担うスタッフは、リードとのファーストコンタクトを行い、関心のある商品やサービスに関する情報を探り、提供します。
重要なのは、リードの興味やニーズを迅速に把握し、適切なフォローアップを計画することです。
この初期の段階で確立された良好な関係は、リードが営業プロセスを進む上での基盤となります。
まだ担当者とつながっていないリード
このステージを担うスタッフは、これらのリードに対して積極的に関わりを持ち、関心や興味を高めることを目指します。
たとえば、定期的な情報提供や、特別なオファーが挙げられます含。
この段階で接触が取れないリードは、失注リードに分類されることになるため、担当者のクリエイティブな計画立案が求められるところです。
担当者とつながり顧客育成・商談設定中のリード
このステージを担うスタッフは、リードの具体的なニーズや疑問に応じて、詳細な情報提供や解決策の提案を行います。
ここでの目標は、リードの信頼をさらに深め、商談の確約を取り付けることです。
パーソナライズされたアプローチと継続的なコミュニケーションを継続することで、リードの関心を喚起し、購買意欲を最大まで高めることが重要です。
過去に失注したリード
このステージを担当するスタッフは、失注の原因を分析し、リードの現在の状況やニーズの変化を把握します。
適切なタイミングで再アプローチし、過去の経験を踏まえた新たな提案を行うことが重要です。
ここでは、リードの変化を見極め、柔軟に対応し、新しい観点から価値を提供することが求められます。
インサイドセールス組織を作るときの注意点
インサイドセールス組織を効率的かつ効果的に運営するためには、組織内のプロセスと人員の管理にあります。
ここでは、インサイドセールス組織を構築するときに特に注意すべき点を解説します。
- インサイドセールス組織内の担当ごとにKPIを設定する
- 抱えているリード量に不公平がないか観測する
- フィールドセールスに引き継ぐリードは基本的には量より質を優先する
インサイドセールス組織内の担当ごとにKPIを設定する
KPIは、担当者が自身の役割に対して責任を持ち、効果的に業務を遂行するための目標となります。
これにより、個々のスタッフのモチベーションが向上し、組織全体の成果に寄与します。
KPIの設定には、個々の担当者の役割、担当チームの役割、インサイドセールス組織全体の役割を、それぞれ考慮することが重要です。
また、定期的なレビューを通じて、KPIを必要に応じて調整する柔軟性も持たせるべきです。
抱えているリード量に不公平がないか観測する
不均衡なリード配分は、一部の担当に過剰な負担をかけ、モチベーションの低下や業務の質の低下を招きかねません。
なお、これは業務ごとに担当を割り振った場合も、リードステージごとに担当を割り振った場合も同様です。
リードは基本的に、新しいものほど価値があり、時間の経過とともにその価値が低下していきます。
鉄は熱いうちに叩けと言いますが、一部の担当にリードが溜まり、進行を阻害している場合、インサイドセールス組織はもちろん、営業プロセス全体に悪影響が生じます。
なお、CRM(Customer Relationship Management)システムやMA(Marketing Automation)ツールを活用すれば、どの担当にどれだけのリードが停滞しているかの観測は難しくありません。
フィールドセールスに引き継ぐリードは基本的には量より質を優先する
質の高いリードは、フィールドセールスによる商談効率を高め、最終的な成約率を向上させる可能性が高まります。
インサイドセールスチームは、引き継ぐリードが十分な情報と購買意欲を満たしている状態であることを確認し、フィールドセールスの成功に貢献するよう努める必要があります。
ただし、常に「質」が優先というわけではありません。
フィールドセールスチームの業務状況に余裕がある場合、引き継ぎ条件を緩和し、多少ゆるい状態であっても引き渡した方がよいでしょう。
反対に、フィールドセールスチームに余裕がない場合、引き継ぎ条件を厳しく絞り、より成約確度の高いリードだけを引き渡すといった工夫も必要です。
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インサイドセールスの組織についてよくある質問
ここでは、インサイドセールス組織に関する質問について解説してきます。
- インサイドセールスがフィールドセールスを兼任することはある?
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インサイドセールスがフィールドセールスの役割を兼任するかどうかは、組織のニーズやリソースによって異なります。
特に、小規模な組織やスタートアップでは、スタッフが複数の役割を担うことが一般的です。
こうした場合、インサイドセールス担当者がフィールドセールスの業務を兼ねることもあり得ます。しかし、企業規模が大きくなるにつれて、これらの役割は通常、専門性を持つ異なるチームや担当者に分割される傾向にあります。
- インサイドセールスに向いている人は?
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インサイドセールスに適しているのは、調整力が高く、内部のさまざまな部門と連携できる人材です。
特に、インサイドセールス部門は、マーケティング部門、フィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門との密接な連携が求められるため、コミュニケーション能力とチームワークが非常に重要です。
また、データ分析能力や、顧客のニーズを理解し、適切な解決策を提案できるクリエイティブな思考力も必要とされます。
- インサイドセールス組織のマネージャーが注意すべきことは?
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マネージャーは、量的な成果だけでなく、担当者の仕事の質やアプローチも評価する必要があります。
優れた顧客対応、クリエイティブな問題解決、効果的なチームワークなど、数字では測れない要素は組織にとって大きな価値を持つからです。
したがって、評価システムも、個人の貢献を全面的に捉えるように設計されていなければなりません。
これにより、スタッフは自身の能力と創造性を発揮しやすくなり、組織全体のイノベーションと成長を促進します。
この記事のまとめ
この記事では、インサイドセールスの組織図の描き方を解説しました。
以下は、記事の重要なポイントをまとめたものです。
- インサイドセールスとは
主に電話やメール、Web会議システムを使った営業活動を指し、フィールドセールス(外勤営業)とは異なるアプローチを取ります。
効率的でコスト削減にもつながるため、多くの企業で採用されています。 - 組織の配置
インサイドセールス組織は、営業プロセス内に配置され、マーケティング組織、フィールドセールス組織、カスタマーサクセス組織とともに重要な役割を果たします。
各組織は特定のステージに集中することで、効率化を図ります。 - 担当の割り振り
インサイドセールス部門の中では、「業務」または「リードステージ」ごとに担当者を決定し、仕事のリズムを一定に保つことが重要です。
これにより、雑多なタスクによる業務効率の低下を防ぎます。 - 組織運営の注意点
担当者ごとにKPIを設定し、リード量のバランスを保つことが必要です。
また、マネージャーは件数だけでなく仕事の質も評価し、フィールドセールスに引き継ぐリードは質を優先します。
この記事を通じて、インサイドセールスの組織図の構想や、担当者の効果的な割り振り方について理解を深めてもらえたらな幸いです。